新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

オネエチャンのお店

 先日社会人になり、こないだ初めて「クラブ」という種類の店に連れて行かれた。ソファにローテーブル、客が千鳥状に座ったところの隙間に恐ろしく短いスカートを履いたオネエチャン(死語)がスポっと入ってくる店だ。おさわりはない。飲み物はおっっっっっそろしく薄い水割り(焼酎がやたら高そう)と水で、食い物はお菓子がカゴに入ってやってくる。仕事中はマジメな先輩や上司たちが狂い始める。なんなんだここは。それほどまでにストレスを溜めて仕事をしているのか彼らは。ここが労働の闇を煮詰めた地点なのか。帰りたい。俺は帰りたい。ジャンルは違えど模型という共通の趣味があるほうの上司は一次会で一滴も酒を飲まなかった上にうまくドロンと消えおった。一本締めまで居たのは覚えているが、いつお帰りになったのだろう。

 

 会話が下品で恐ろしい。初めては15歳でオジサンと、じゃねんじゃ。1曲200円の従量課金カラオケに千円札がちゅるちゅる飲み込まれていく。叫ぶ感じの音楽ばかりがかかる。ストレス発散か。そして帰る素振りはまったくない。ぼくはいつ帰れるのか。帰りたい。むしろ家が来い。楽しい会話ならキミら既婚者は帰ってからでもできるだろうに。それともなんだ、キミらの妻は子宮付きの家政婦か何かで家庭は冷えきっているというのか。サラリーマン残酷物語がここにある。家に帰りたくない上司の犠牲になった新人がここにいる。

 

 話の通じそうなセンパイにギブアップの旨を伝えてタクシー代をゲット、オネーチャンにタクシーを呼んでもらうも捕まらない。何分待つ?20分?余裕だ余裕。総武快速当駅始発は20分待っても座れるかどうか怪しい。余裕余裕。30分までは待ったうちに入らない。

 

 夜のお店から呼び出されたタクシーの運転手さんはやけに丁寧で、というかこういうところに呼ばれてくるとトラブル多いんだろうなぁ……。日付が回ってから隣町の自宅まで送って頂いてあのお値段は安すぎる。初乗りが500円未満のタクシー久しぶりに見たし。東京ぐらしが長かったものでタクシーは初乗り2 kmで660円という思い込みがあった。田舎とはいえ安いのは土地ぐらいのものなのに、企業努力の賜物なのだなぁ。

 

 

 真っ直ぐ帰る上司が誰なのか分かっただけでも儲けものだ。