新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

#C91感想 艦娘援交小説合同 『売り売りて、性春』(江上山地)

 去る年末のコミックマーケット91で買ってきた本の感想を適当に書き連ねるのに、twitterでリプライチェーンをつなげてもいいのですけれど、やはり紙幅に余裕があったほうが良かろうということでブログに書いていくこととする。

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 こちらが今回のコミケで一番手に入れたかった本のひとつ、艦隊これくしょんの援交小説合同誌、『売り売りて、性春』である。スケベ玉キャンペーン、ということで、主宰のゑのがみ氏の指定tweetを引用し、会場で提示すると100円引きという由であったので、当然ながら投稿することとした。

  ふだんからドチャシコシチュエーションの断片をタイムラインに垂れ流しているゑのがみ氏が音頭を取って、ということなので、企画発足時点で国展入り・即・購入は決定していた。

 

 そんなこんなで中身を一読して心の中が真っピンクになってきたあたりで収録各作品に対し敬意とありがたやとシコりましたという複雑なお礼を申し上げつつ感想を述べてみることにする。尊い。艦娘で援交なんていう小説が読めるなんて長生きするものだ。

 

 従って以下の文章は本同人誌のネタバレを多分に含むので一旦ここで追記扱いとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おとなになるの』(なな☆だま:萩風)

 同年代の彼氏をつくって恋愛をしている嵐の姿を見て、男に抱かれれば私も変われるかもしれない、と考えてしまった萩風の心がたいへん繊細に描かれた作品。抱いて貰えた上に、高校生ではなかなか手にできない大金を手にしてしまい、徐々に変わっていく様は、まるで日焼けの痕がさめていくように、けれど、入り口が援助交際という過ちは正せず、最初のボタンを掛け違えたままで先へ、大人へなっていってしまう萩風の危ういところが気になって物語が終わってしまった。なんとも先が気になる、というか心配になってしまう。ぜひとも私のように膣内射精こそが救いであるという男に行き着いて低用量ピルを飲まされるまで行って欲しい。

 

『対価の風向き』(桶住人のmist:秋雲)

 印刷費で現金がショートした秋雲先生が立ちんぼのメッカみたいなところへ行くお話。そしたら風雲が驚いて声をかけ、なんと秋雲を「買う」と言う。わあ背徳的だなあと思ったらなんと風雲は男で……。処女なのに身体を売って現金を得ようとする発想に至った秋雲を、身内とはいえ買うことになった風雲の遠慮なさが少々乱暴さを感じさせるも、秋雲はばっちり感じてしまって、そして風雲にまた買って欲しいというところで完全に堕ちたなということが分かる。秋雲先生と売春、という取り合わせがなんともミスマッチで良かった。遠慮なく処女を買って「使った」のに、秋雲がばっちり性の喜びに堕ちてしまうというのがたいへん良い。

 

『弓張り月』(猫の者:秋月)

 この話で体を売っているのは秋月"くん"。女衒として出て来る隼鷹がまたハマり役である。きっと飲み屋で飲んだくれて「ほんとうはこんな商売したくねえんだよう」とかクダを巻いていそうだ。閑話休題。秋月くんをばっちり女の子みたいにかわいがってメスにしてピロートークで騙されるあたりもさすがだと感じる。ベッドで聞いた「好き」と「愛してる」と「生活に困ってる」は真に受けるなって俺と入れ違いで死んだヤリチンのひいじいさんが言っていた。

 

『左利きのbaby』(まてつ:速吸)

 貞 操 観 念 の イ カ れ た 鎮 守 府。「女の子もちんぽに勝てませんが、男の人はもーっとちんぽに勝てないんです!」という速吸のイカれたセリフに対し首がもげるほどタテに振り振り。10万円で中出しOKとかいう最高にイカれたプレイングしてるなあと思ったら案の定ボテ腹エンド。しかも種付けされたのとは別の男とボテ腹プレイしてお金取ってるし。やべえイカれてやがる。と、同時に、文章というのはこの程度イカれていても意味は通じるしシコいしOKなんだ、とこちらの脳リミッターまでおイカれになってきた。

 

フタナリ榛名は年下援助交際肉便器だったお話』(狭間レヴィ:榛名)

 ふたなり榛名がイカれてて本文の7割がハートで1回3,000円で買ったオス犬をメスにしてオスにするというなんともイカれた文章だ。たいへん湿度の高い文章で、ふたなりデカマラから噴出される男汁で紙面がぬるぬるしている気がしてくる。現実であればローションプレイが似たような感触だろうかと冷静に考え始めたあたりで私の脳みそも相当バカになっているような、気がする。

 

『筑摩は援助キンタマ交際をするようです』(火田:筑摩)

 フタナリ榛名がデカマラならこちらはデカ玉筑摩が本文の6割ハートでできてて精液、いや、せーえきをぶぴゅぶぴゅ噴出しまくる話だ。女性の体に巨大なデカ玉がぶら下がっていて無限に射精できるという大宇宙が広がっていた。

 

『掌の上で転がされてるの巻』(喚く狂人:足柄)

 売春、というとお金を払ってセックスをしてもらうこと、である。では、一般的に、男女で行う膣-ペニス性交であればどちらがお金を払うか、というと、これは男が払うほうが多いだろう。ところがこの話は逆であって、足柄さんがコールボーイを買うお話なのだ。コールボーイ。女性からお金をもらってセックスする男娼。そんなのが実在するのかは怪しいけれど。でも、常々私が申し上げる通り、「単語・熟語として存在する概念は普遍的である」という指針に従えばコールボーイあるいは男娼というコトバが存在する以上、お金をもらってセックスに応じる男というのは普遍的に存在するのであろう。とにかく、このお話では足柄さんがコールボーイに札束を押し付けて抱いてもらうのである。コールボーイに札束を押し付けてゴムも付けずに生挿入。今日で最後にすると生挿入でコールボーイをばっちりイカせてケリをつけようとするが、子宮口に生の熱い精液をぶつけられて引き分ける感じになってしまって、結局あきらめきれなかったのか、それとも生の膣内射精が忘れられなくなってしまったのか、結局足柄さんはこのコールボーイに踊らされているのだという、タイトルを思い出すラストであった。

 

『彼女は瓶の中で』(洲央:大鯨)

 ミステリが紛れ込んでいた。いや、謎を解く要素はないからミステリと言わないほうが良いのか。ともかく後味が極悪(褒め言葉)な作品だ。私も街で援交をしている同級生を脅して無料で生ハメ膣内射精がしてみたいものだ。と思いつつ本能のままに生セックスするシーンでひとしきり興奮したかと思えば次はもう衝撃の出産シーンである。仮に私が彼の立場ならどうするか。そもそも立ち入ってそれらの瓶を見た瞬間にチビッて逃げ出すかもしれぬ。援交するならピルを飲め、その低用量ピルは必要経費だ、という私の言説は間違っていないと信じたい。

 

『世界は君に恋をする』(ゑのがみ:那珂)

 アイドルの那珂ちゃんがストレスから後腐れのない肉バイブを求めるお話。世間知らずで生理的嫌悪感すら感じる男性を引っ掛けてホテルへ誘うのは、童貞ならば性病の危険もないし、逆美人局というか、そういう反社会的な暴力集団が出て来る心配も要らないからであろう。もうとにかくホンモノの精液が出てセックスできる肉バイブとしてしか見られていないキモオタ童貞とアイドルの那珂ちゃんという対比が那珂視点で淡々と進む描写が圧巻である。膣内射精を受け止めた時の「芋虫が這いずり回るような感覚」「歯を食いしばる」という那珂の心境が、ひたすらキモオタ童貞とのセックスへの嫌悪感を感じさせる。これは援交の、セックスの上衣を借りた自傷行為であり、自らの肉体が見世物であり、アイドルであり、アイドルとしてのプロ意識が、外から見える身体への物理的な自傷行為を遠ざけ、けれどもキモオタ童貞と生膣内射精セックスをするという心への不可逆なダメージを刻み続ける。愛して欲しい人に愛されないという悲しみは、ここまで人を狂わせるのか。

 

 

 合同誌ならではの、テーマに沿いつつ、ここまで自由に宇宙が広がるものか、まだまだ私の見識は足りないのだと実感しつつ読み終えた。買ってよかった。豪華な執筆陣がここには揃っている。なお、電子書籍版の委託販売先は以下のとおりである。