Raspberry Piの記事の続きだと思った?ありゃあ盆栽なんだからのんびりやらせてください。早晩腐るようなハイエンド機じゃないんだしさ。今日はタイトルの通りエグゼクティブなおはなし。とはいってもたった数百円で中学生がエグゼクティブ空間でエグゼクティブ対応されただけの昔話をしようというわけだ。
かつてライブドアという企業は株式を東証マザーズに上場していた。記憶に新しいかどうかはともかく、堀江貴文氏、通称ホリエモンは一躍有名となった。株式分割を繰り返し、1株から証券会社を通じて買うことのできたライブドア株は、1株1,000円未満であった。その気になれば*1小学生でも株式が買えたのだ。だから、テレビにもライブドアの株主小学生みたいなのが時々ちらほら映っていた。これをヨシとしなかったのか、ガキがカネの話してるのが気に食わなかったのか、順当にホリエモンに落ち度があったのか、ライブドアやら堀江氏やらは東京地検特捜部っていう段ボール屋さんの餌食になって、堀江氏は小菅の高級マンションへお引越し、ライブドアはNAVER(現:LINE)の傘下になってしまわれた。ダイヤルアップ接続の無料プロバイダとしてもその道の人々に広く知られていたライブドアも、こうなってはただのポータルサイトに過ぎない。てか最近までプロバイダやってたのね。
で、だ。当時報道を観ておもくそ影響されていた当時の筆者も中学生。親はわりかしなんでもやらせてくれたので、松井証券に口座を作って手続きして口座が使えるようになったのはライブドア上場廃止の翌日でした。ちゃんちゃん。終わりじゃねぇか。
ひととおり貯金を買付余力に変換し、あれやこれやの銘柄を買っては売り、買っては売り、時には中学校のパソコンから注文を出すバカもやり、とある時に目をつけたのがペイントハウスの株。ライブドアと同じようにひと株ずつ買え、なおかつ安かった。本業のリフォームが儲からなくなってきて、当時すでに虫の息であった。……だからこそ、「転売厨しかいないヤフオク」である株式市場では格好のオモチャとなった。数百円の株価が毎日乱高下し、一週間でいくらスッパ抜くかっていう投資じゃないよねこれもうギャンブルだよねって状況は長く続かず、上場廃止が決定された。上場廃止とは、証券会社から気軽に売り買いできる上場株式から、直接株券を持ってマッチ売りの少女ならぬ株券売りの少女しないといけなくなる非上場株式への転換を意味する。従って、上場廃止にともない証券会社のサイトに書いてある持ち株の数字は紙切れの株券となり、自宅住所宛てに郵送される*2のだ。
そうしてペイントハウスの1株券が郵送されてきた。めでたしめでたし。ではない。紙の株券というのは持っているだけではダメで、名簿を管理しているところに行って、この株券は俺のものになりましたと名簿を書き換えてもらう必要があった。その名簿を管理しているところは三菱UFJ信託銀行という。銀行じゃないぞ、信託銀行だ。超大金持ちが遺言を信託したりする感じのエグゼクティブな金融機関だ。そこへ田舎の厨房が時価数百円の紙っきれを片手に登場である。三菱東京UFJ銀行と間違えてんのかって感じだ。夏だったので行員さんがアロハを着ていたのが印象的だった。
ご用件をお伺いされてしまったので株券の名義変更に来たと言う。すると所定の用紙が出てきて書いて出す。しばし待つ。手続きが終わるという。帰宅する。
……では終わらなかった。後日電話が掛かってきて、「未成年の中学生は法定代理人を立てないと名簿に名前が載らない」と言う。もう一度信託銀行へ行く。所定の用紙をもう一度書く。しばし待つ。こんどこそ手続きが終わるそうなので帰宅する。
そして、後日名簿が書き換えられ、裏面の名義が自分のものになった株券を引き取りに行く、というわけだ。田舎なので大金持ちは多くなく、ガラガラで冷房のきいたハイソなエグゼクティブ空間に3度も足を踏み入れた貧乏人。こういうのが居たからかどうかは知らないけれど、上場企業の株券は電子化されてしまった。いまでも数百円で信託銀行の世話になることはできるのだろうか。
小心者なので意図せずしてエグゼクティブなところ連れてかれると縮こまります。