新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

新富町

 我が家は家族がバラバラに暮らしているのですが、決して仲が悪いからそうなっているのではなく、どういうわけだか住んでいる場所が数年おきに変わる感じになっています。そんなある日、私が諸用で相模原*1で一泊し、夜行列車*2で帰るという日に父が出張で東京に出てくるというではないですか。諸用を済ませ、夕刻まで適当に時間を潰し、新富町駅の4番出口を昇ると数カ月ぶりに父親と再会できました。夜行列車に乗って帰るから一杯ひっかけてもいいのですが、当時はまだ20歳になっていなかったような気がするので、飲み屋でメシを奢ってもらって別れました。あの新富町の飲み屋、また行ってこんどはお酒を頂きたいなぁ。まだあるんだろうか。白ご飯にマグロのカマか何かで頂いた記憶があります。なんて店だったんだろう。カウンターのあるお店でした。

 

 夜行列車に乗る前には風呂と決まっています。風呂と言っても数万円払って女の子が120分間彼女になってくれるタイプの暗黒泡王国ではなく、当時470円ぐらいで入れた神田の江戸遊です。東京から夜行に乗る時最適。サンライズ瀬戸出雲ならシャワーついてるけれど、車掌さんが回ってくるまでにシャワーカードが売り切れるリスクとか、ぶっちゃけシャワーじゃ綺麗になった気がしないんですボクわたしっていう方もいるでしょうし、やっぱり神田の江戸遊行くのが良いんじゃないでしょうか。タオルも200円そこそこで借りられますし、手ぶらで行けるのがなにより嬉しい。ていうかソープランドって法律の上ではスーパー銭湯みたいな扱いだけどあそこで(一般的な入浴と同じ概念で)綺麗になるんだろうか……。ソープランド行ったら夜行でスコーンと眠りにつけそうな気もするけれども。ども。

 

 そんなこんなで神田からオレンジ色の中央線で東京へ出て、別に東京から乗っても多少ゼニを取られるかもしれないだけなのに、律儀に東海道線に乗って横浜へ……。金曜夜ともなると混みますねぇ、せっかく風呂に入ったのに品川で汗ばんできてリタイヤ。少々涼みつつ、「おっどうせ横浜行くなら京急乗るかぁ」と改札口へと歩く。確か神田品川横浜小田原って分割すると安い気がするし、分割+10円で京急乗れるなら安いものよね。やってきた特急は2000系だった気がします。乗りあわせて近くに居た妙齢の女性2名が「えっもう川崎なの」「速いわねぇ さっすが京急」と絶賛するタイプの電車でした。

 

 横浜でふたたびJRのきっぷうりばへ。ムーンライトながら号は小田原で日付が回りますので、そこから先で青春18きっぷを使うとなると小田原までのきっぷが必要になります。当時950円なので別にふつうの券売機のちっちゃいきっぷでも良かったのですが、やっぱり夜行列車乗るんだし旅情よねぇ、ということでテレホンカードサイズのきっぷ*3を求めようと窓口へ行ったら閉まっていました。ザンネン。……と思ったら指定席券売機があるじゃないですか。たとえイベント会場の最寄り駅で券売機が爆混雑していても不人気で女の子に触ってもらえない可哀想な指定席券売機さんですが、こいつはふつうのきっぷを発券することもできるのです。操作が面倒だけれど。そして出てくるのは旅情たっぷりの85 mm券。いいねぇとぽちぽち券売機を叩いて小田原までのきっぷを購入。

 

 85 mm券に旅情があると言ったら硬券で長距離旅行していた時代の方に怒られそうですね。長距離の硬券というと、「ALWAYS 三丁目の夕日」で、自動車屋に集団就職した女の子が冬ボーナスか何かの扱いで、郷里の青森行き往復乗車券を貰って、しかしながら「どうせ口減らしなんで」といったん突き返してしまうシーンが思い出されます。あの頃は長距離鈍行が超編成で、その鈍行にずっと座って旅行するのも一般的だったのでしょう。なにせ「普通」乗車券を買って「普通」列車に乗ると目的地に着くのですから。国有鉄道陸の王者だった頃のお話ですね。

 

 陸が鉄道なら空はなんだろう。機内誌「翼の王国」で知られるスターアライアンスメンバーの通称青組ANAと、ワンワールドでCLUB ESTやクラスJなど独特のサービスがあるJALのガチンコ勝負でしょうか。LCC全盛になって市場はどうなるのかとおもいきや、LCCのライバルは高速バスや鉄道だったりして、意外と大したことはないのかもしれません。もともと私はANA派だったのですが、30歳まではいろいろ優遇してくれるっぽいのでJALに鞍替えしました。よくメリットも分かってないのにCLUB EST入っちゃったしな。

 

 

 個人的には旅情っていうと2000系気動車なんですけれど、みなさまは如何でしょうか。

*1:南大沢に用事があった

*2:ムーンライトながら

*3:長さが85 mmなので85 mm券と言います