新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

ひゃっかてん

 百貨店、と言うと一番最初に思い浮かぶのは今はなき「コトデンそごう」である。四国・高松の市街地に、高松琴平電気鉄道(コトデン)の全3路線が一堂に会する大ターミナル瓦町駅の駅ビルとしてその百貨店は存在した。そごう本体が破綻した後もしばらく営業を続けていたが、コトデン本体をも巻き込んで潰れてしまった。その後、コトデンは経営再建を果たし「ことでん」となり、やけに太いイルカのキャラクターをあちこちにあしらって旧体制からの脱皮を図った。経営再建で人件費も相当削ったらしく、近所では琴電にお勤めのご主人と離婚したとか、車掌が契約社員で給料が恐ろしく安いとか、暗雲が立ち込める話も聞こえてくるが……。ヘタにこういう企業努力で黒字になってしまうと補助金が受けられずに厳しい運営となる。微妙に黒字でヒィヒィ言ってる長野電鉄と、赤字で補助金が出るから重軌道化したりVVVFの車両を入れたりできた上田電鉄とを見比べると分かりやすい、と某氏から解説された。重軌道化もVVVF車も、保線のペースを長くすることができたり、すり減る部分が減って車両のメンテがしやすくなるから、ドカッと貰った補助金を有効に活用して今後のランニングコストをガッツリ下げていきましょうねという方向性である。どのみち人口減少が続くとなると、公共交通というのは民間じゃ限度がある。地域の公共交通も「いつまでもあると思うな」で住む場所を選んでいかないといけない時代である。

 

 話がそれた。大学時代は「性癖のデパート」と呼ばれた友人の家で麻雀したりテラリアしたりしてgdgdと酒を飲んでひっくり返っていた。そいつには飛田新地を勧められたり吉原の安いソープランドで動く樽が出てきた話を聞いたりした。なかなかに愉しいヤツである。ファミリーコンピュータボンバーマン(1985)ではダルとかいう鈍い雑魚キャラが登場する。ブロックすり抜けてこないから楽勝だけど。ポンタンは殺す、絶対にだ。どこらへんが性癖のデパートかって推すエロ漫画が朝凪とか新堂エルとかそういう系統なのだ。柚木N'とかたかやKiとか養酒オヘペとかそういうノーマルなのが好きなスク水専門店と私とはちょっと違うのね。

 

 やっぱり話が脱線している。百貨店の話だ。かつて4年ほど千葉に住んでいたからちょっと百貨店的なお買い物がしたいときはチャリンコで千葉そごうへ行った。何故か。あそこにはロフトが入ってたり別館の地下にはユニクロが入っていたりするからだ。どういう購買行動をするか詳しく解説しよう。まずはそごうの売り場へ。良さそうな帽子やら財布やら服やらを適当に物色する。値札を見る。ぶったまげる。なるほどなるほどなるほどね、と納得しつつロフトへ行く。形が似ていて素材が安そうになった帽子が1/10の値段で売られている。ユニクロへ行く。形が似ていて素材が安そうなシャツが1/10の値段で売られている。That's all.以上だ。百貨店の空きフロアに無印良品・ロフト・ユニクロが入居しているのはある種の生き残り戦略なのかもしれない。昨今ではユニクロですら高いという話すら聞く現状を鑑みるに、ぶったまげる値札をぶら下げている店の別フロアに出店するとふつうのものがふつうに売れるという、そういう戦略もあるのだろう(適当)。

 

 一度血迷ってそごうの売り場で財布を買ったことがある。今の財布がそうだ。そごう・西武プライベートブランドか何かで良い品をより安く、みたいな売り場があった。ほうほうと二つ折り財布の値札を見ると7千円。なんだぁ買えるじゃないかとその隣にあった別のデザインの財布も7千円だと思って店員さん呼んで「これください」と言う。するとありがとうございますと財布をパカっと開くと値札が出てくる。15,750円と書いてある。ちょっと待て。隣の似たような財布と比べっとダブルスコアじゃないか。思わず声が震える。「あのちょ……隣のやつとだいぶ値段違うますね……」「はい、こちらはコードバンの皮で丈夫に作られておりますから(ニッコリ)」「アッハイ」さよなら15k。頑張って稼ぐね。

 

 百貨店の真髄というか夢というか、おもちゃ売り場こそ正義だと思う人は私の他にもいるだろう。かつて豊橋には西武百貨店があった。ある時、西武オリジナルプラレールとして2000系電車が発売されたことがあった。電話で問い合わせるとたまたま豊橋駅を通る次の日に発売だと言う。その旨伝えると「前日には入ってきちゃうんでよろしかったら売り場までお越しください」と言われる。ありがたく売っていただいてしまった。当時筆者は小学生だったし、もう豊橋西武はなくなっちゃったし時効だよね。おもちゃ売り場長みたいなおっちゃんありがとう。今はどこで何をしてらっしゃるのだろうか。

 

 スク水専門店を百貨店に入居させて大儲けしてえな。