新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

精液検査オフ

 皆様は病院に行く用事があるだろうか。私は自慢じゃあないが病院へ日常的に通ってはいない。昨今では歯医者に数回通っているが、定期検診と歯のクリーニングと親知らず引っこ抜く相談あたりであるから重篤ではない。……たぶん。

 

 理由はたぶんこの辺のやり取りのせいだろう。おもにいるかむのせいだ。

 

 

  でもって私はとある田舎の山の中在住である。そもそも精液検査は何科で受けられるのだろうか。真面目な不妊治療なら産婦人科で受けられるようだが、不真面目な精液検査はどこで受けられるのだろうか。おちんちんから出る液体を調べるからどうやら泌尿器科でも精液検査を受けられるようだ。なので近隣の泌尿器科のwebページを閲覧し、おもむろに電話をかける。10分以内ならタダのワイモバイル最高かよ。電話で精液検査をやっていることを確認したので病院へ赴く。初診である。

 病院で初めてなんですけどと問診票を書くが、泌尿器科というデリケートな科なので症状を記入する欄がなかった。なるほど、いきなりドクターに「精液検査を受けに来たんですけど」「種なしじゃないかどうか調べたいんですけど」とか言わなきゃいけないのか。レベル上がった気がするぞ。私のような小心者は発声するより文章で何かを伝えるほうが気楽であるのに。

 そして順番で呼ばれる。診察室に入る。なるほど、デカい病院なのでまずは看護師が問診してくれるのな。若い女性に当たってしまった。

「本日はどのような」
「えっと、精液の検査を受けたいんですけれども」
「は、はあ、少々お待ちください」


 裏に行ってしまった。程なくしてベテランな感じの看護師*1に交代した。
「精液検査はですね、うちの病院には分析する設備がないので、分析業者さんに街の方から来ていただいて、クルマで待ち構えてもらって、精液をすぐに容器に入れてクルマで街の施設まで運んで調べてもらうんですよ、なので今日すぐにというわけにはいかないんです」
「なるほど」
「いつがよろしいですか」
「じゃあ来週で」
「でですね、精液の検査というのは速さが肝心なので、あなたの住所だったら家から15分ぐらいですよね、お家で出して来てもらって」

「あの、私はクルマを持っていないのでバスで来るんですけど」
 そう、この男、順当に考えればクルマを買うであろう土地にクルマなしで暮らす底抜けのアホなのだ。

「えっそしたらバス停まで30分とか歩いてバスが30分で病院まで……時間かかりすぎですね、わかりました。病院で受付して診察券だしたらそのままトイレで出してください。何持ってきてもらってもいいんで」

「アッハイ」


 そして形だけとはいえ医師による診察。
「精液検査はスピードが勝負なので、『昨日のやつ』とか出されても精子死んでますから、出したての新鮮なやつを提出してくださいねwww」
「アッハイwww」

 そして当日。いつものようにバスに乗り病院へ。手には前回もらった容器がある。

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 これに精液を満たすのだ。視覚的な栄養分としてたかやKiの「恋糸記念日」を持参した。診察券を投入しそのままトイレへ直行。まるで漏れそうな人である。漏れそうなのは精液であるが。検査のために一週間の禁欲を言い渡されていたからギンギンパンパンである。すぐに出た。一週間分の在庫ともなると多少黄ばんでて練り歯磨きのような……やめよう、詳細な描写はグロテスクでテロにも等しい。トイレから出ると診察室の裏にそれっぽい業者の人がいる。彼の手によって私の精液は分析業者までの道のりを90分ほど爆走するのだ。53号線を南へ。
 順番を待たなくていいと言われていたので診察室に突入し、「11:30に検査の笹松です」と名乗るとカルテを一瞥されて「ああ」とすぐに前回のベテラン看護師がでてきた。精液入りの容器を渡して、お会計をお待ちくださいとのこと。お会計690円。たった690円で私の精液は専用のおクルマで53号線を爆走する。タクシーも真っ青な安さだ……。


 そして翌週もらった検査結果がこちら。

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 医師いわく
「運動率と正常形態率が悪いけど濃度が4倍なんでね、割合なので掛け算したら十分満足してます、妊娠させる能力はあります、なにかご質問は?」
「ないです」

 というわけで精液検査がつつがなく終了した。受けた理由?特にねぇよ?でも不妊の原因の半分は男性側にあるってよ?深い意味はなくってよ?


はあ、中出ししてぇなぁ。

 

 

 

追伸:3回で2,070円でした。日本の医療費メチャ安い。

*1:ベテランとはいえまだまだいろんな意味で現役っぽい感じの(伝われ)