新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

ナトリウムランプ

 夜の高速道路はオレンジ色のランプに照らされる。ナトリウムランプというやつで、単スペクトルだから白黒はっきりして視認性が良いとは高校で物理を教えてくれた恩師の受け売りである。夜のハイウェイを彩るささやかなエッセンスのひとつとしてピロートークならぬハイウェイトークのネタの一つとしてご自由にご利用いただきたい。

 自家用車に乗って感動するのは、山奥の酷道を走り、街に出て高速に乗り、高島平ICを降りてしばらくすると成増の自宅に辿り着けることである。道はどこまでも繋がっているのだ。

 降りたことのないICにも、きっとそこが最寄りのICで、旅の始まりと終わりの場所だという人がいるのだろう。もっと言えばローカル線の小さな駅や、1日数本のバスしか来ないバス停が、きっと誰かの旅へのゲートウェイであるはずだ。あなたにとってはなんでもない駅でも、きっと誰かのが玄関口。風邪をひこうが、心がささくれだって居ようが、ただただ駅はそこにあり、バス停はぽつんと立っている。

 高速道路のICというと、ラブホテルや餃子の王将が近くにある印象が強い*1。小学生の頃既にラブホテルですることについてあらかた予想が付いていたが、悲しいかな餃子の王将にしか用事がないのでなかなかラブホテルに入る機会がなかった。小学校のそばに営業しているのかどうかわからないジュリアというラブホテルがあり、そこの脇の用水路でメダカが捕れるので同級生女子と網を持って走り回ったのが懐かしい。

 エメラルドグリーンに塗られたホテルジュリアはたいへん目立つ学区内の施設であったから、小学校で教諭が発話するときは「レジャーホテルジュリア」とされていた。教育的配慮である。ラブとライクの区別もついていない小学生のガキにラブホテルという概念は早すぎるのだ。

 80の手習いとかいう言葉もあるし、思い立ったが吉日という言葉もあるから明日ラブホテルに入ってみるのも良いだろう。ちょうど金曜日だし。

 思い立ったが中出し生活。

*1:おそらく豊川ICの印象