新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

リモコン

 皆様の家にはテレビがあるだろうか。一人暮らしだとなかったりするのが昨今の事情っぽいし、私の家にもテレビはなく、もっぱら会社で見るのことのほうが多い。とはいえ実家にはある、という方が多いだろう。さて、そんなテレビと切っても切り離せないのがリモコンである。単3か単4電池を2本入れてボタンを押すと赤外線の信号が飛んで行くアレのことだ。今日はチャンネルのボタンに関する講釈を少々垂れることとする。

 

 今本日ナウ*1この文章をお読みの方ならば地上デジタル放送への切り替えというのは記憶に新しいだろう。それ以前は地上アナログ放送であった。VHFで1~12chとUHF13~62chだったような割り振りで、○○テレビは42ch、とかいうのを新聞のテレビ欄の上の端で確認して設定していた。とはいえ、指針がないと不便であるから、リモコンボタンの番号とテレビ局はある程度の対応がついていたように思う。なので、近所の友達の家に行っても違和感なくテレビのリモコンを扱えたはずだ。ひとんちにテレビのリモコンを操作するレベルで馴染んでいいのかどうか、というのはさておき。

 

 ところが、これで困るのが転勤族だ。脳みそに馴染んだチャンネルの番号と数年おきにサヨナラ。覚えるのを放棄した家族の「ミリオネア何チャン?」「ドラえもん何チャン?」「マジカル(頭脳パワー)何チャン?」……疲弊した母親がついにキレる。母がキレるのである。革命が起こる。ブチ切れた母親の合理的解決策は、実家も含め、東京のチャンネルボタン割り振りで統一する、というものであった。つまり、我が家のテレビにおいて、1~12のチャンネルボタンはどこに住んでも次のように割り当て直される。

笹松さん家のテレビのリモコン

1:NHK総合

2:空き(※ファミリーコンピュータのRFアダプタ)

3:NHK教育

4:日テレ系

5:空き

6:TBS系

7:空き

8:フジテレビ系

9:空き

10:テレ朝系

11:NHK-BS

12:テレ東系

 

 11番にNHK-BSを割り当てるのが少々特殊ではあるが、それ以外は地上アナログ時代の首都圏が基準となっている。こうすることで田舎に住んだ場合は砂嵐のチャンネルが増えるものの対応可能である。

 

 リモコンといえばリモコンローターというものがこの世に存在し、よくエロ漫画に登場する。しかしあれは情緒もへったくれもない。せっかくリモコンなのだから弱中強みたいな味気ない振動を与えるのではなく、操作者の息遣いが伝わるようなリモコンローターを世に送りだそうではないか。というわけで送信側はタダのラジコンボタンではなくマイクにする。受信側もオンオフ弱中強ではなくマイクからの音声信号をモーターの回転数に変える回路を組み込む。どちらも簡単だ。送信側はFMワイヤレスマイクを作ってそのまま流用すればいいし、受信側はFMラジオのスピーカーを取り外してスピーカー手前の信号をトランジスタに接続してモーターをドライブすればいい。モーターに適切な容量のコンデンサをパラってやれば良い感じに動くだろう。たぶん。

 

 そうすることで、マイクにぴちゃぴちゃと水音を吹き込めばモーターが寸動してブル……ブル……と震え、マイクにデコピンを食らわせればモーターにはひときわ大きな電流が流れて大きな刺激が加わり、マイクに愛してるよ愛してるよと優しく語り続ければモーターが優しく震える、という世界に類を見ないリモコンローターの完成である。ガッハハハ。ボロ儲けできるわい。製品化を検討されたメーカー担当者はぜひご相談を。一緒に大儲けしませんか。

 

 リモコンローターお散歩したい。

*1:2016年11月