新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

#C92感想 「君と曙光の中で」(ぷかぷか亭/プッカ)

 衝撃とともに夜の品川天王洲を歩いたあの日から、はや2週間。新幹線で自宅へ戻り、勤労の傍ら山を越えて名古屋へ遊びに行ったりと活動は多岐に渡った。とはいえ出歩いてばかりだと戦利品の消化もままならない?いや、そんなことはない。ちゃんと読んで崩している。いいですか、積ん読というのは最初の1ページを開くのに大きなエネルギーが要りますが、その後はゆるゆると反応が進み、気がつけば一冊サクッと読み終わっているものです。今日は夏コミの戦利品から10万文字超のボリューミーな一冊をご紹介。

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 今日読んだのはぷかぷか亭の「君と曙光の中で」だ。艦これ現パロSSに定評のあるプッカ氏が初めて出した同人誌と言うことで大変期待できる一冊。「幼なじみ瑞鶴の初恋」「教え子ビスマルクの密恋」「三十路足柄の偽恋」の三部作でどれもたいへん読み応えのあるお話だった。

www.pixiv.net

 

 pixivに掲載されている作品だと瑞鶴お姉ちゃんのやつが好き。赤城さんが財布持ってくるシーンがとってもお気に入り。

 

 例によってここより先はネタバレを防ぐために未読の方は一旦お引き取りください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「幼なじみ瑞鶴の初恋」

 素直になれない瑞鶴と、少しばかり弱みを握られているビスマルク。ソリは合わないけどお互いにある程度信用しているのだろうなあと思えるブランコのシーンが2人の関係性を鮮やかに語る。足柄先生の「あなたは、まだ間に合うからよ」という言葉に何か意味を感じつつも、両片思いの関係はようやく繋がるシーンは、人はけしてひとりで生きているのではないのだと思える。そして授乳手コキ。病弱な彼を守るべきものに見立てたかの行為。……いや、違う。男はみんな弱いんだ。授乳手コキされたいんだ。授乳手コキをどこで覚えてくるんだと聞かれたらもう我々は答えられる。「こないだの夏コミの新刊にそういうシーンがあった」でイナフだ。変態、赤ちゃん返りしちゃった?頭は大丈夫?幼児向け玩具でも用意する?とでも言われながら、大切な人に授乳手コキをしてもらおう。きっと大丈夫。冗談でも授乳手コキして欲しいって言える相手が居れば大丈夫。居ればの話だけれど。

 

「教え子ビスマルクの密恋」

 瑞鶴の話にも出てくる生徒会長ビスマルク。教師と付き合うなんてそんな話が、と思うけれども観測範囲にも教え子と結婚したセンセが居たなあと思いつつ。郵便局の転居届は1年限定と思われがちだけど、実は何回でも出せるから2年目になるころにもう一度提出すれば大丈夫なんですよね、ビスマルクさん制度を悪用(?)しすぎじゃねえかなあと微笑ましく、というかセンセそこ代われ。けーる氏の挿絵と相まってホントビスマルクのおっぱい気持ちよさそう……。何回おっぱいで射精してるんだ。いやこのビスマルクだったら無限に射精できそうな気分になってくる。

 

「三十路足柄の偽恋」

 気持ちよさそうなスケベ話が続いてラストで心臓をギューッと掴まれるようなお話がやってきた。3作の中で一等刺さった。胸が苦しくなってちょっとだけ泣いた。

 改めて死のうと決めた足柄さんを繋ぎ止めるための彼の行動がどれも心臓に釘を打つかのように痛い。2番目で良い、なんて言うのは相当に覚悟が必要だ。昔の男、それも結婚を約束した相手との関係性が未だに見え隠れし、未解決の人間関係として残る相手に、未解決のままでも良い、これから先もずっと未解決で良いと言う度量。愛する人から昔の男の話をされるだけでも苦しいだろうなあという、潜在的処女厨めいた心を抱えた私にはとてもできないと、どこでもない遠くを見つめてしばし放心してしまった。

 

 

 良い作品を読ませていただいている立場で総評なんて調子に乗ったことは言いにくいですけれども、スケベシーンが三度の飯より大好きな生セックス膣内射精で、その膣内射精にすべてちゃんと言い訳や理由がついていたので大満足です。生中出しってやっぱり覚悟めいたものとセットだと思うんですよ。絶対気持ちいいとも思うけれど。

 

 

 冬コミも申し込みされたということで、まだまだ残暑厳しい折ではありますが、冬のビッグサイトで新刊が出ていると嬉しいなあと思いつつ。