新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

#C92感想 「'00/25 vol.7 これからの『性器』の話をしよう」(わがはじ!)

 まだ当地に雪が積もる頃、私に一つの寄稿依頼が届いた。マイケル・サンデルの「これから『正義』の話をしよう」という名著をパロって性器の話をしますという。なるほどなるほど、ではひとまず元ネタを読んでおきますねと安請け合いし、近所の本屋へ車を走らせたが、残念ながら地方都市の書店には崇高たる早川書房の文庫版は置かれていないのであった。地方の書店では正義の話をしない。Tポイントとマンガ本の話しかしない本屋ばかりである。まあいい。アマゾンは地方暮らしに教養をもたらした。数日後、コタツで正義の話を読む私が居た。

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 そういうわけで「正義」のほうは読破したが、どうにも普段から駄文垂れ流す弊ブログと本質では変わらない論調であった。正義なんてのは時と場合と自分の判断で如何様にも変わる上に、すでに評価が定まった歴々の哲学者間ですら解釈が異なる、輪郭を持たぬ物であるという論は私が普段から唱えているものと相違ない。しかしながら、功利主義など、概念の言葉は、私の思想の輪郭のない部分にすこしばかり境界線を引く効能があった、ような気がする。相手が喜ぶならちょっとの犠牲は我慢するかなあ、といったようなミクロな話でも功利主義という熟語が脳裏に置いてあると違う。……たぶん。

 

 そんなこんなで「好きに書いてください」ということで好きに書かせて頂いて、著者近影は「ご利用」LINE窓という物好きの集まりに持ってないかと尋ねて何枚か送った。1枚を除いてアヘ顔ダブルピースの自画像を送ったのだが、採用された物はその例外だった。どの写真が採用されたのかは実際に冊子を手に入れて確かめて欲しい。すくみづ氏は増刷をかけるらしいから次は大晦日までに手に入れられるように思う。

www.wagahaji.com

 

 そんなわけで本が無事にできあがり、刊行される運びとなったため、一部頂戴することとなった。自分の書いたコラム的文章が雑誌に掲載されているということになる。

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 ……本当に載ってるけど他のコンテンツが濃厚で大丈夫?なんか中出しキチガイキチガイ文章が載ってるけど大丈夫?うーん、だんだん胃が痛くなってきたぞう(小心者)。

 

 というわけで各記事読んでみた。

 

・ヴァーチャルリアリティにおけるエロという<リアル>と<フェイク>

 同人サークルVRJCCが世に出した「なないちゃんとあそぼ」というVRスケベソフトがある。弊ブログでも度々登場するエアーダッチ、いわゆる空気嫁スマホを貼り付け、加速度等センサとして利用することにより、VRゴーグルを着けると空気嫁の動きが反映されるという簡単に人間をやめられそうなプロダクトだ。予想以上の列ができてしまい中止となった第1回アダルトVRフェスタでのひと幕や、開発にリソースを割く様子はなかなか黎明期といった趣だ。キャラデザの2C=がろあという文字を見て真っ先に思い浮かんだのはefシリーズだ。新海誠製作のオープニングムービーは今でも(解像度こそ当時の品質だが)新鮮に思う。「援交モノにしないとなないちゃんとシームレスにヤる流れにならない」という懸念は笑ったけれど、女の子に無償で好かれるという希有な人種には分かってもらえないだろうなあ、これ。

 

・シゲヨシ伊東のその心意気やヨシ!<エロ同人RPG>その絶妙な世界に潜る

 エロ同人RPG、確かに存在する。「淫乱度が1000」「風紀値がマイナス」など腹筋に優しくないパラメータが存在するエロ同人RPGの世界に対し、「風紀値が正の値だとヒロインが兵隊に犯されないのはおかしい」などと至極まっとうな意見を言っているなと感じた。エロ同人なんだから如月群真のエロ漫画ワールドみたく何か貞操観念が逝去しているような感じでお願いしたいという気持ちはよく分かる。なんでエロ同人なのに倫理部分だけ現実を実装してしまうのか。生ハメ万歳、なぜか妊娠してもしなくても万歳、世知辛いのは現実だけでいいじゃないか。

 

・催眠音声制作者に聞く【声】というオナニーグッズのちから

 実のところ、催眠音声を勧められたことは2度や3度ではない。しかし、私はどこか怪しさを感じてしまい手を出してこなかった。「そんな催眠なんてかかるわけないでしょ」というアレである。フラグだよね、これ催眠術師にばっちり催眠掛けられてところ構わず膣内射精してまわる妖怪中出しにされちゃうやつだよね。タイホだよ。そんなこんなで読み進めると、いわゆる「洗脳」のライトなやつというか、催眠音声には根拠があるという大変興味深い内容であった。そりゃ「洗脳」と同根なのでは市民権は得られないし、私のように怪しいと思って手を出さない人間も多いわなあと思われる。とはいえ、射精による快感ではなくエネマでドライ、などなど「ちょっと試す」には難しい概念もあるようで……えっと……道具使わないところからでいいっすか。

 

・なぜ人は「ちんこ」をそんなに生やしたがるのだろうか

 皆様は「ふたなり」という概念をご存じだろうか。女性にちんこを生やすというあれである。別物だと言う方も当然いらっしゃることは承知で申し上げるが、「男の娘」概念まで地続きであると思う。……かわいいものにちんこ生えてればいいよね、という「ふたなり中心・女装・男装・TSオンリー同人誌即売会」のふたけっと主催との対談記事。特にちんこが好きな人々が集まる即売会というのは他にはなかなかない。そして、「見るのはOKだしオカズにもするけど実際にはちょっと……」というのは大変よく分かる。どうみても美人なのにちんちん生えてたらしゃぶれるか、ケツ差し出せるかというとなかなか難しいけれど、マンガだったらイケるしオカズにもなるんじゃないかな、という位置の人間は多いと思う。プラナスガールの絆ちゃん大好きだし。

 

・まさに女性を堕とす「シチュエーションCD」その魔力とは

 実は身内にこの「女性向けシチュエーションCD」を布教して回る男がいるのだ。名前をという。

 

kuma-rapidexp.hatenablog.com

kuma-rapidexp.hatenablog.com

 女性向けシチュエーションCDを作業用BGMにする豪傑である。……というのは最近になって分かったことであって、そのCDとやらがどういうものか知らなかったからなのだ。この、本書のコラムを読んでいくつか調べたが内容が過激で楽しくなってきた。「新婚で旦那さんにめっちゃ愛されたい」「中出しされたい」という記述はまったく需要がないのにハァハァしてしまいそうになった。ちょっととりみだしました。ていうか出過ぎでしょシチュエーションCD。すげえな男性声優の皆様。男同士の芝居ックスだけじゃなくて合いの手が入らない(≒なんとなくやりにくくない?)女性向けシチュエーションCDまでお手の物とは。声でお仕事するってすげえ。声で濡れるとか排卵しちゃうとかあながち冗談じゃないんだなあ……。というか上記の熊のブログ、日付が2年も前じゃないか。筋金入りだった。最近ではヤツの大学の先輩にまで「ドライブ用BGM」としてシチュエーションCDを送りつけるなど活動が多岐にわたっていて、潜在需要の掘り起こしにも躍起である。膣内射精フリークの私としてはとりあえず中出しシーンがあるものを聴いてみようと思って一枚買ってみた。今日届くと思う。

www.amazon.co.jp

 

・「理想のセックス」とはいずこに

 私の記事です。お楽しみ頂ければ幸いです。幸せって儚いね。

 

グノーシス主義的性器運用のススメ

 生殖を目的とした性器の運用から解脱しよう!という記事であった。案ずることはない、弊ブログの読者諸兄はとっくに到達しているだろう。何?生殖したり定期的に生殖してる?性的プチブルめ、アジトで総括して……やらなくても子育ての負担と嫁の小言で自動的に総括されてますね、がんばってください。この調子で参りますと遠くない将来、本当に生殖と性器が切り離され、代理母の子宮すら使わない文字通りの試験管培養液ベイビーが見られそうな感じすらあります。そうなったらば完全に性器を行使することは酔狂か、趣味ということになるでしょう。そういう時代が来たとしても女体の優位性は失われないと思うし、ソープ街が寂れることもないと思うんだけれど、それはまた別のお話。

 

・編集後記/奥付

 なるほどその画像をそう使ったか。その発想はほんのりとあった。ふふふ。皆様もお手元の冊子で確認してちょうだい。

 

 

 ホントに私の記事が載っていて大丈夫?フルコースに突然100円のハンバーガー挟まってたわみたいなことにならない?と不安はあるのですが、同時掲載の記事がこれだけボリューミィならおなかいっぱいになることでしょう。お声がけ頂いて感謝しております。新しい扉なんぼか開いてしもうたな。雑誌ってそういうもんですよね。

 

 中出しされたいと思われてえなあ。