同人誌を国立国会図書館に納本して代償金をもらう話
表題の通り、弊サークル「新スクの淵から」はコミケット93新刊「コスプレ売り子阿武隈改二」を国立国会図書館へ納本しました。
書類が来た…… pic.twitter.com/LJQn4dRdvM
— 笹松しいたけ (@s_sasamatsu) 2017年12月22日
・あらまし
同人誌を国立国会図書館へ納本している同人サークルの納本体験記録のようなブログ記事は多少ヒットしますが、代償金の請求をしたというものは(あまり*1)見かけませんでした。ならば自分でやろうというのが弊サークルの役目というもの。
・結論から先に言え
○代償金はエロ同人でも問題なく貰える、が、手間に見合わない……
○2部納本すると東京の本館だけでなく関西館にも収蔵されるが代償金は1部の半額と送料のみ
○裏表紙あるいは奥付に定価、または会場価格を印刷するとスムーズ
・手続き
作った同人誌を国立国会図書館にただ収蔵してもらうだけなら適当な手段で本と「寄贈する」旨書いたメモを同封して送付すればいいわけですが、代償金の請求をしようとすると書類が必要です。オンラインでの請求やPDFでの印刷はできず、公式サイトの案内に従って電話で請求します。
納本の宛先・お問い合わせ先
国立国会図書館
収集書誌部 国内資料課
電話:03-3581-2331
FAX:03-3504-1569
納本について 収集第一係(内線24611)
納入出版物代償金について 収集第三係(内線24630)*お問い合わせ受付時間 月~金 9時~17時45分(祝日、年末年始を除く)
というわけで、国内資料課に電話をかけ、収集第三係へと繋いで頂きました。コミケで頒布する同人誌を作ったので納本したく、また代償金を請求させて頂きたい旨を伝えると、住所氏名等を聞かれたのでお伝えしました。
すると数日で書類が届きました。2枚目が青色で複写されるA4用紙です。書き損じ用に3組入っていました。
「ご不明な点がございましたら」とありますが、記入例を参考に埋めていきます。まず始めに「社印と代表者印の両方とも押印が必要です」とありますが、同人サークルに社印はありません。さっそく問い合わせます。再び収集第三係へ繋いでもらい、同人サークルであるため社印は必要ない、と回答頂きました。
○同人誌を納本する際に社印は必要ない
と同時に、納本する資料、この場合は「コスプレ売り子阿武隈改二」の本体に価格は印刷されているかと聞かれたため、ないと答えました。すると、価格のわかるパンフレットや委託書店のwebページを印刷して同封して欲しい旨をお伝え頂いたため、告知画像を印刷して同封しました。
【冬コミ情報】
— 笹松しいたけ (@s_sasamatsu) 2017年12月9日
12月29日(金) 東地区 ム-56b「新スクの淵から」
コスプレ売り子とオフパコえっちする小説「コスプレ売り子阿武隈改二」を700円で頒布します!
Webカタログはこちら→ https://t.co/r7GJhzqWIx
メロンブックスにて予約受付中です!→ https://t.co/3grSH8vY3D #C93艦これ告知 #C93 pic.twitter.com/rB1fgddhFe
郵便番号・住所・発行者「新スクの淵から」・代表者名・振込先を記入し、
書名:コスプレ売り子阿武隈改二
数量:2(※先にお伝えしたとおり2部目は寄贈になる:2部分の代償金を貰えると思っていた)
小売価格:¥1,400-
と、(送料)¥164-を記入し、本2部と告知画像のプリントアウトを同封して、クリックポストで送付しました。
すると、到着してすぐに電話が掛かってきて、「2部目は寄贈ということでよろしいか、返送するか」と聞かれたため、寄贈でいいと返答しました。従って、この用紙に記入する数量は各資料ごとに数量1というのが正当のようです。もしこれが定期刊行されている雑誌だったら○月号~○月号で○冊、のようになるのでしょうか。
国立国会図書館からお電話頂いて、「そんなえっちな本は認められません」……なんてことはなくて、「同じ本を2部納本して頂いた場合、納本代償金をお支払いするのは1部で、2部目(≒関西館に収蔵される)は寄贈という形になりますがよろしいですか」という確認だった。
— 笹松しいたけ (@s_sasamatsu) 2017年12月25日
・その後
こちらでやることはないので、待つこと2週間、年が明けて2018年、データが掲載されました。
冬コミ新刊「コスプレ売り子阿武隈改二」が国立国会図書館のデータに載りました。近日中に閲覧資料として利用できるようになると思います。
— 笹松しいたけ (@s_sasamatsu) 2018年1月10日
引き続きメロンブックスにて好評委託中です。こちらもよろしくお願いします。https://t.co/Q6g6yu3yOchttps://t.co/3grSH8vY3Dhttps://t.co/lcoJhLwGxH
それからさらに待つこと1ヶ月と半月ほど、納本代償金が振り込まれたことを確認しました。クリックポストの配達記録では12月25日午前に国立国会図書館へ到着しているため、概ね2ヶ月ほど掛かった計算になります。金額は定価700円の半額350円と、クリックポストの送料164円の合計で514円です。日本銀行という印字はされませんでした。ちょっと残念。
・追加情報(2018年2月23日追記)
生まれて初めて国会図書館に行きましたが、無事に2冊とも納本できました
— 大町パルク (@oomatipalk) 2018年2月23日
代償金は100部以上の頒布実績が必要と言われましたが、価格入りの通販売上ページを印刷したものと、「プラスでコミケ50部売れたので大丈夫です」と主張したら受け付けてもらえました(承認されるかは別) pic.twitter.com/6HjnPQMTgW
100部以上、というのは書いてありました。
Q5:納入出版物代償金支払いの対象となる出版物の基準はありますか?
A5:書店で一般に頒布される出版物、通常の自費出版物等については、100部刊行されていることを基準とします。
業界動向、技術情報等を調査した資料、大規模な復刻資料や歴史的資料の集成など、刊行部数は少数であっても、図書館や各種機関等への頒布を目的としている出版物については、15部刊行されていることを基準とします。ただし、一定の頒布実績があれば、刊行部数が15部に満たない場合であっても例外的に納入対象とする場合があります。
詳細についてはお問い合わせください。
納本するだけならば部数の少ないコピー本も受け付けてもらえるようです。
・まとめ
○代償金はエロ同人でも問題なく貰える、が、手間に見合わない……
○2部納本すると東京の本館と関西館に収蔵されるが、代償金は1部の半額と送料
○裏表紙あるいは奥付に定価、または会場価格を印刷するとスムーズ
○同人誌を納本する際に社印は必要ない
要点を再掲するとこのようになります。カーボン複写の専用用紙を取り寄せるために電話対応をして頂き、用紙を郵送してもらい、記入方法をまた電話で問い合わせ、価格が書いてある告知画像や委託書店のwebページを印刷同封し、納本部数の確認でお電話頂き、振込はほぼほぼ2ヶ月後……となると、今後はよっぽどたくさんの本を出したり、あるいは豪華な装丁で本を出したりしない限り代償金の請求はしづらいなあ、というのが個人的な感想です。もちろん、権利を行使する権利はありますので(なんじゃそりゃ)、この記事が何かしらの参考になれば幸いです。
・所感
さて、後世にまでコスプレ売り子とえっちする小説が残ることになってしまったのでやりきった気分でいっぱいですが、このままだと300年後ぐらいに艦これについての誤ったイメージが研究されそうなので、余力のある方はぜひ納本してみてはいかがでしょうか。また、第三者による寄贈(第三者への代償金の支払いはありませんが……)も出来ますので、熱心なファンが後世に残したいと勝手に寄贈するケースも考えられますが、本来納本は義務ですのでこれを止める手段はありません……なんということでしょう。国立国会図書館に入ってる伊東ライフのエロ同人は第三者の手による寄贈な気がする。たぶん。
というわけで、作った同人誌を国立国会図書館に納本して代償金をもらおう、というお話でした。
・後日談
思ったより安かったので角印は作ってしまいました。任意団体新スクの淵から。税込送料込980円なのでたいへんお買い得だと思います。
それと、国庫金振込通知書という圧着ハガキが届きました。
宛名、サークル名 本名殿、でした。衝撃的。
支払事由に燦然と輝く「コスプレ売り子阿武隈改二」の文字。すげえ。国庫金を頂戴してしまった。
この国庫金支払通知書、裁判員裁判にお呼び出しされたあとにも送られてくるそうで、逆に言えば納本すると簡単にもらえるわけです。貰ってうれしいかどうかは人によると思いますが……。
コミケ93新刊オフパコえっち小説「コスプレ売り子阿武隈改二」のご案内です。
— 笹松しいたけ (@s_sasamatsu) 2018年2月13日
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*1:ひょっとしたらあるかもしれないけれど自分が見つけられなかっただけかもしれない運転