新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

はっぱ屋さん

 皆様は「はっぱ屋さん」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。怪しいハーブを売りさばく売人か、あるいはその栽培者だろうか。ハッパというと大麻草のことを指していたりもしそうだ。実家暮らししていたころ、私の祖父と仲の良かった「はっぱ屋さん」が愛犬を連れて毎朝家の前を通っていたので時折挨拶をしていた。そう、表を歩けるような「はっぱ屋さん」もいるのだ。そろそろ種明かしをしよう。この「はっぱ」とは「発破」のほうで、ダイナマイトを使ってトンネル工事やら鉱山やらを美しくドカンを未来を切り開く発破の職人さんなのだ。高校の先生に「爆発ってのは制御できないから爆発なのだ」という説明を受けたことがあるが、制御できないものを手懐けてメシを食う、そんな業を成し遂げている職人が今日も世界中でズドンドカンと飯の種に火をつけているのだ。

 

 かの巨匠・筒井康隆氏は著書で「とりあえず目の前の仕事をやると世の中にぽっかり開いている不便の穴が埋まっていく」と述べた。お脳のぐあいに合わせて高卒就職大卒就職院卒博士課程をそれぞれ選べばよろしいという、今なうそういう発言をするとちょっと燃えそうな感じの添え文があった気もするが、事実上向き不向きってのを考慮してお仕事を割り振って社会を動かしていくには最適解が存在するという意味であると解釈している。実際まわりにも居るでしょう、自分より格段に頭が回るのに院へ行かずに民間就職しちゃうヤツとか。世に最適解が存在していても、その最適解へ辿りつけずに近傍の局所最適解に落ち着いてしまう、だからこの世は面白い。明日は何があるんだろうと期待しながら生きていたほうがなんぼか楽しい。

 

 ハナキンにひとりでも強く生きる。