新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

コミケ93で威力を発揮した「釣り銭を300円ずつ取り出せるメカ」解説

 皆様の感想に支えられて、冬コミ新刊は好調でございます。感想をくださった方はもちろんのこと、読んでくださった方、買ってくださった皆様に感謝しております。

 

 さて、冬コミ当日は弊スペース「新スクの淵から」にお越しくださった方も多くおられます。当日、スペースに変なメカが置いてあったのに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。サークル主がゴリ押ししていたフシも……知らないなあぼくは(白々しい)。

 

 というわけでコイツです。頒布価格が700円と決まり、告知を打った段階で、釣り銭300円というシチュエーションが頻発するであろうことは予想ができました。だったらば、逆に潤沢な釣り銭準備金を用意して、皆様から千円札でお支払い頂こうと考えました。そこで脳裏をよぎったのは郷里の駅の改札口。乗り越し精算や、ワンマン列車の整理券から現金で運賃を支払った際に、駅員さんがリズミカルにお釣りを取り出す謎のメカ。調べると、そのメカはまだ買えることがわかりました。浅野工業という文具メーカーの釣銭器です。

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 しかし、堅牢な構造をしておりそれなりに高価、しかも一般的なレジとしての用途のため、10円玉のスロットが潤沢です。10円~50円が取り出せるスロットは、同人誌即売会においてはほぼ無用でしょう。逆に、100円から500円まで100円刻みで取り出せるスロットは、最上位機種にしか存在しません。同人誌即売会用に100円から500円まで取り出せる5本のスロットがある製品が存在すれば、とても便利だと思うのですが、取り出し部のプレス金型から特注になるのだろうかと考えれば、問い合わせてメーカーさんの手を煩わせることすら躊躇われます。

 

 そこで、作ってしまおうと考えました。幸いにして今回は300円のスロットだけあればいいので、構造を元ネタの釣銭器からパク……リスペクトしつつ、手帳にポンチ絵を描きます。

 

 次に材料の選定です。当初は元ネタと同じく金属管を使い、ジャムったり50円玉が混入した時にピンセットで直せるスリットを入れて……と想定していたため、鉄あるいは銅パイプ……と考えました。鉄パイプは接合に難があり(溶接機なんか持ってません)、銅パイプならハンダ付けで対応できるかと思いましたが、銅パイプの販売単位が4メートルとかだったため保留としました。

 

 しばらく悩んでいた頃に降ってきたのが、パイプなら金属以外もあるなあという案でした。塩ビ水道管を調べると、100円玉の外径が22.6ミリに対し内径25ミリというおあつらえ向きな規格が存在します。

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 そして、100円玉の厚みが1.7ミリのため、押し出す棒は3枚重ね5.1ミリの近似値で5ミリの黄銅棒に決定。いろいろと構造を考えましたが、押しバネの保持とそもそも入手性に難があるため、イベント開催中に切断したら交換すると割り切って輪ゴムを使うことにしました。

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 いろいろ考えつつホームセンターの水道管売り場で脳内設計をして、適当に組み上げます。

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 組んだら動くと思うでしょう?上の写真を見て設計から製造までガバガバだなと思ったあなた、大正解です。作って最初は動かないのです。上部なんか水道管に穴開けて豆電球工作で使うようなリード線で縛ってますよあなた。蝶番ぐらい使いなさいよ。雑か。

 

 原因は、100円玉が出てくるスリットの幅が3枚分なのに対し、黄銅棒の高さがユルユルで、100円玉4枚を押し出そうとしていたためでした。

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 そこで、黄銅棒の先端を、鉛筆を削るように「面取り」して、押されそうになっている4枚目が棒の上に乗り上がるようにしました。鉄道車両にアンチクライマという部品がありますが、逆の発想で、ぜひ乗り上がってくれといわんばかりに角度を付けます。

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 うまく動くようになりました。あのガバガバ支持だと黄銅棒がどんどん後ろにさがりますので、適当に切ってネジで止めてやって……

 

 

 当日スペースに持ち込みました。当日の快調ぶり(?)は皆様がご覧になったとおりで、初日にぶっつけ本番で、コミケすら初参加という売り子をお願いした友人も特に故障することなく使えたということでした。よかった。

 

 というわけで、頒布物価格にお悩みの皆様も、このような工作をしてみてはいかがでしょうか。早割入稿はいいぞ。入稿後にこういう工作ができるぞ。

 

 引き続き、新刊はメロンブックス様にて頒布中です。どうぞよろしくお願いします。また、2月4日日曜日に東京ビッグサイトで行われる「砲雷撃戦よーい 35戦目」でも委託頒布をお願いする方向で調整中です。続報をお待ち下さい。