新スクの淵から

笹松しいたけの思想・哲学・技術・散文。

不安を感じること

 皆様は不安を感じることがあるだろうか。私はある。自宅から離れて空腹の時にダメージを食らうと不安で不安で仕方がなくなる。今日はそんな「不安」の実例をお話しようかと思う。


 別に嫌いなわけではないのだけれど、高速バスにはあまり乗ったことがない。人生で10回行かないくらいだ。ずっと飛行機のほうが多い。100回以上は乗っている。乗り慣れない高速バス、それも朝早くからなので朝食を摂らずに乗った。
 冒頭の「ダメージ」からバスが事故る話かとお思いの方もいるかもしれないが、そんなことはない。バスは無事に運行されていた。私がドジなだけなのだ。朝食は摂らなかったものの、水分は摂って乗ったためトイレに行きたくなった。バスの最後部にあるトイレへ行き、用を足し、出る。出るときにドアが勝手に閉まる。ああ、バネでも入ってるのかなぁと空腹のはたらかない頭で思う。次の瞬間、予想を超える勢いでしまったドアに指を挟まれる。ぐえあ。激痛。なんとか声を堪えて座席に戻る。

 なんのことはない、ただのマヌケである。ところが本人は切実に痛いしなにより空腹で乗り慣れない高速バスの車内である。だんだん思考が良くない方向に向かう。「すごい内出血だ、ひょっとしたら骨が折れているかもしれない」「この傷の修復には肝臓あたりの組織を分解してアミノ酸が充当されて臓器に不可逆なダメージが行くかもしれない、こんなことになるなら朝めしを食べておくべきであった」「内出血がひどくてここから毒素が全身に回って私は死ぬかもしれない」もう過呼吸である。冷や汗ダクダクスタイル。努めて深呼吸。下車の山崎ICはすぐそこである。次からは閉まるドアに気をつけような。しかし指が痛い。

 しっかり朝めしを食べて身体や心にダメージを負わないようにしような。

 指は腫れることもなく痛みが引いてきたので大丈夫だと思います。たぶん。